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監禁願望の女
第2章 黒いリボン
それまで名前を持たなかった願望は、誓約書を読み上げたことで、「坪井弥生」という一人の女の意思になった。弥生は自分の名前と声によって、男に監禁されることを受け入れたのだ。しかも読み上げているあいだ、胸や腹部を締めつけるリボンの感触が、呼吸をするたびに意識された。
男は弥生の動揺に気づいていた。それでも構わず尋ねた。
「合図を決めておこうか?」
弥生は首を横に振った。
「合図はいりません」
「分かった……」
男はそう言うと、再びスマホを取り出し、録音ボタンを押した。それから弥生の耳元へ顔を寄せ、低い声で囁いた。
弥生は男の小さな声に合わせるように、言葉を紡いだ。
「私は、合図に関する二項の削除を希望します。私は、許可なく監禁場所から逃れようとせず、監禁されている間に、たとえ解放を求める言葉を口にしても、日曜日の夜まで監禁が続くことを望みます」
弥生が言い終えると、男は録音を止め、再びスマホを彼女から遠ざけた。スマホが視界から消えると、代わりに別の黒いリボンが入ってきた。
「今夜は来てくれてありがとう。会えて嬉しいよ、弥生」
男はそう告げると、黒いリボンを弥生の目元へ重ね、その視界を覆った。
弥生は浅い息を繰り返しながら、首を左右に振っていた。だが、リボンが口元まで迫ると、その動きを止め、自ら上体を前へ屈めた。男の手を避けようとはせず、口元まで覆われるのを受け入れた。
男は弥生の動揺に気づいていた。それでも構わず尋ねた。
「合図を決めておこうか?」
弥生は首を横に振った。
「合図はいりません」
「分かった……」
男はそう言うと、再びスマホを取り出し、録音ボタンを押した。それから弥生の耳元へ顔を寄せ、低い声で囁いた。
弥生は男の小さな声に合わせるように、言葉を紡いだ。
「私は、合図に関する二項の削除を希望します。私は、許可なく監禁場所から逃れようとせず、監禁されている間に、たとえ解放を求める言葉を口にしても、日曜日の夜まで監禁が続くことを望みます」
弥生が言い終えると、男は録音を止め、再びスマホを彼女から遠ざけた。スマホが視界から消えると、代わりに別の黒いリボンが入ってきた。
「今夜は来てくれてありがとう。会えて嬉しいよ、弥生」
男はそう告げると、黒いリボンを弥生の目元へ重ね、その視界を覆った。
弥生は浅い息を繰り返しながら、首を左右に振っていた。だが、リボンが口元まで迫ると、その動きを止め、自ら上体を前へ屈めた。男の手を避けようとはせず、口元まで覆われるのを受け入れた。

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