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監禁願望の女
第5章 牢
背後からもう一度帯を引かれると、腹を囲う締めつけが強まり、白い絹の下に隠れていた腰の曲線がくっきりと浮かび上がった。ゆったりとしていた絹は体へ張りつき、弥生を逃がさないように、一つの姿へ整えていった。
そのとき、別の自分になったような気がした。
いつもの服を着て、地下駐車場まで歩いてきた坪井弥生ではなかった。
鏡を見たわけではない。自分がどのような姿になったのか、確かめることもできなかった。それでも、白い襦袢と紅色の帯に包まれた体は、もう自分だけのものではないように感じられた。
不思議と嫌ではなかった。見慣れない姿に変えられたはずなのに、帯の中へ収められた体は静かだった。裸で立たされていたときの心細さが薄れ、震えていた自分を、別の女が引き受けてくれたような気さえした。
けれど、その女が誰なのか、弥生には分からなかった。
花嫁のようにも思えなかった。
神棚の前に立つには、白すぎた。
腹を囲う紅色も、祝いの色には見えなかった。
弥生はそこで、考えることをやめていた。
男が背後で麻縄の束を解く音を聞くまでは。
乾いた繊維の擦れる音がした途端、白い襦袢の内側に生まれたばかりの静けさが、胸の奥で小さく揺れた。
そして今、その麻縄が自分の体を包んでいる。
弥生は暗闇の中で、襦袢の内側に残る自分の熱を感じていた。
裸を隠すために袖を通した白い絹。
別の女へ変えられたように感じた紅色の帯。
その上から体を封じた、乾いた麻縄。
どうして、この姿なの……。
答えは浮かばなかった。
ただ、神棚の前で感じた誰かの視線だけが、男のいない地下牢までついてきているような気がした。
そのとき、別の自分になったような気がした。
いつもの服を着て、地下駐車場まで歩いてきた坪井弥生ではなかった。
鏡を見たわけではない。自分がどのような姿になったのか、確かめることもできなかった。それでも、白い襦袢と紅色の帯に包まれた体は、もう自分だけのものではないように感じられた。
不思議と嫌ではなかった。見慣れない姿に変えられたはずなのに、帯の中へ収められた体は静かだった。裸で立たされていたときの心細さが薄れ、震えていた自分を、別の女が引き受けてくれたような気さえした。
けれど、その女が誰なのか、弥生には分からなかった。
花嫁のようにも思えなかった。
神棚の前に立つには、白すぎた。
腹を囲う紅色も、祝いの色には見えなかった。
弥生はそこで、考えることをやめていた。
男が背後で麻縄の束を解く音を聞くまでは。
乾いた繊維の擦れる音がした途端、白い襦袢の内側に生まれたばかりの静けさが、胸の奥で小さく揺れた。
そして今、その麻縄が自分の体を包んでいる。
弥生は暗闇の中で、襦袢の内側に残る自分の熱を感じていた。
裸を隠すために袖を通した白い絹。
別の女へ変えられたように感じた紅色の帯。
その上から体を封じた、乾いた麻縄。
どうして、この姿なの……。
答えは浮かばなかった。
ただ、神棚の前で感じた誰かの視線だけが、男のいない地下牢までついてきているような気がした。

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