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素敵な笑顔
第19章 音 素敵なひと
 ありがとう、と詩子さんに礼を言い、
さおりさんは一歩下がった。
詩子さんが小窓を閉めているときに、
さおりさんと目が合った。
人生の良いことも悪いこともたくさん経験してきた、
複雑な色合いの眼差し。

「素敵な方ですね」

 思わずそう言っていた。
さおりさんは驚いたように眉を上げ、
それから穏やかに笑みを浮かべた。

「ありがとう。
ちょっと雰囲気の違う子だなって思ってた。
あなた、見えるのね」

 同じくらいの身長で同じくらいの目線の高さなのに、
見下ろされている気がする。
たぶん、ひととしての大きさの差。
人生経験の差。

「はい、はっきりとは見えないんですけど。
ご存知だったんですか?」

「ええ、前に占いのひと何人かに、
教えてもらったことがあるの」

 右後ろをちらっと見て、さおりさんは言った。
まるでその紳士が、そこにいるのがわかっているように。
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