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素敵な笑顔
第25章 音 後日譚 ダイヤモンド



 もう嫌。全部嫌。
なにもかも嫌だ。

 具体的に、なにが、と聞かれても答えられない。
ときどき、急に襲ってくる。
なにかしなくちゃいけないのに、
なにをすればいいのかわからない。
そんな焦り。
夜が暗いのも嫌。冬が寒いのも嫌。
お風呂場から聞こえてくるシャワーの音も嫌。
ひとりぼっちなのはもっと嫌。

 詩子さんと恋仲になって、そろそろ二年になる。
この二年間で、わたしはずいぶんと変わったと思う。
詩子さんに勧められ、
詩子さんが絶賛してくれたショートカットの髪は、
自分でも悪くないかもって思えるくらいわたしに馴染んだ。
彩音は前髪を整えずにおでこ出してるほうがかわいいわ、
と言いながら髪をセットしてくれて、
おばあちゃんもよくわたしの前髪を
そっとかき分けてくれたことを思い出した。
詩子さんがべたべたに愛してくれるので、
前よりは自分に自信を持てるようになった。
地味でおとなしかった女子高生は、
そこそこ普通の女子大生くらいにはなることができている。
そして、ちょくちょく外泊する悪い娘にもなった。
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