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第33章 Lesson 柳瀬様

ズキッ…

セイジまでこんな表情に…

罪悪感が募っていく。

本当だったら確実に、目標に向かっているのに…
手放しに喜べない…。

「セイジ…大丈夫…結局何もされなかったから…」

笑顔で答えようとするが、頬が強張ってしまう。

「でも…辛かっただろ？」

ズキズキッ！

二人の優しが…
胸の傷を疼かせる。

「…うん…でも…辛かったのは…私だけじゃなかった…」

眉根を寄せて、目を細めると…

霞んだ視界に、寂しそうな旦那の背中が思い返された。

「…そっか…」

セイジも察した様に、それ以上は口を噤む。

ごめんね…セイジ…
ごめんなさい…あなた…

だけど…

泣き言を言っている時間はない。

グッと息を飲み、口を真一文字に結ぶ。

顔を勢いよく上げ、まるで二人を睨み付けるかの様に真っ直ぐ見据えた。

今朝の経緯も全部伝え

「これからの事ですが…早々に引っ越し先を見付けたいと思います」

落ち着いて講師を目指す環境を整えよう…
それが今、私の現実だ。

強くハッキリ言い切ると

「琴海様…その新しいお住まいの件で…一つご提案があります…」

「提案？」

「はい…」

少し顎を引いて、胸を張るヤナセ。

柔らかく髪を揺らし、いつも見せる美しい笑顔は、全ての人を魅了するかの様に魅惑的だった。