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第34章 Lesson お引越し

ここは何処ぞのテーマパークだろうか？

部屋に辿り着くまでに迷子になりそうだ。

「セ…セイジ…本当に…ここなの？」

どうか嘘だと言って欲しかったが…

「うん！住所も間違ってないし、ここで大丈夫だよ！想像以上に広いね〜」

プルプル震えながらセイジの腕を握る私を感激してると思ったのか、セイジはニッコリと微笑み掛けてきた。

あぁ…どうしよう…
人生２９年…

何の取り柄もなく平凡に生きてきたのに…

高学歴な訳でもないし…
語学が達者な訳でもない…

こんな『凡人』代表みたいな私が、いきなりセレブの領域へ！？

絶対に有名人とか上級階級の人とか、外人が住んでるに違いない！

「ご機嫌よう…」

ボソッと呟くと

「琴海？どうしたの？」

セイジの服を皺くちゃにしている両手に手を重ねて、顔を覗き込んできた。

「ここの…住人の人に会った時の…ご挨拶を…」

あの洗練されたヤナセ張りの人たちが、たくさん住んでいるんだ…
言葉使いも気をつけないと！

「はっ！服もブランド物とかじゃないと、出入り禁止とかになるかも！」

ヤナセが身に付けているのは、全部高級ブランドだったもん！

どんどんジャケットの袖に皺が寄っていく。

「琴海…多分、普通で大丈夫じゃないかな？」

半泣き状態で今にも縮んで消えてしまいそうな私に、セイジは少し苦笑いをしながら優しく頭を撫でてくれた。