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第34章 Lesson お引越し

「くわばら…くわばら…」

どんどんヤナセがこの世の物から、かけ離れていく。

そんな私の妄想を知るよしもなくセイジは、部屋のドアの前で微笑みながら振り向いた。

「琴海、ここだよ」

ドキン…

ここが…『ヤナセ様のお部屋』

いよいよ秘境に入る感じで、緊張感のメーターが振り切りそうになる。

セイジが鍵を差し込み…

ピピポパポッ！

ドアの横に備え付けられたボタンを押すと、ガチャっと音が響く。

もしかして…『暗証番号』ってやつですか！？
なんてハイテクなセキュリティ！

「琴海…入って…」

「うん…」

ドアを開けてくれたセイジは、先に私を部屋に入れてくれた。

「お邪魔します…」

ドキドキ…
胸が高鳴る…。

今日から数ヶ月間…
住まいとなる場所…。

玄関は高そうな石がツヤツヤしていて、やたら広かった。

中に入って行くと広々としたリビングは、ナチュラルトーン系で統一され、シンプルで落ち着く感じだ。

でも明らかに、全てから高級なオーラが醸し出されている。

「やっぱり…広いね…」

「ははっ！だね！１００m2以上はあるみたいだよ」

「ひゃ、ひゃくへぇ〜べぇ〜！？」

それって一体…畳で何畳？