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第34章 Lesson お引越し

「ははは…は……はぁ…」

セイジは力が抜けた様に笑って、溜め息を吐き

「琴海…俺、そろそろ戻るね…」

自嘲的に微笑んだ。

「え…帰っちゃうの？」

それは当たり前の事だけど、願わくば時間が許す限り一緒にいたい。

「うん…今日の最終新幹線で、帰る予定ではあったから」

「今日…もう帰っちゃうんだ…」

「うん…明日からレッスンも始まるし」

セイジは大きな手で、私の頭の天辺を優しく撫でる。

ズッキン！

いつになく胸の奥が、鋭利なもので刺されたみたいな痛みが走った。

「明日から…早いね…休めないなんて…大変だね…」

無茶言ってる…

セイジは人気講師だ…
更に研修中…

それをスケジュール調整して２日間も、本校に戻って私の離婚問題に関わってくれた。

ヤナセの意図でもあるけど…
表向きにはセイジは関係ないのに…。

なのにセイジは…

「ごめん…琴海…」

申し訳なさそうに謝る。

ズッキン！

また胸が痛む。

「セイジは…何も悪くない…私の都合に巻き込ませて…ご免なさい…」

妙に余所よそしい言い方になってしまったけど…

悲しいかな…

これが私たちの現実なんだ…。