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第39章 M Lesson 教養X

次の実技レッスンの予約も終えて、ヤナセはエレベーターの前まで見送りに付いてきてくれる。

エレベーターが上がってくるのを待っていると、ヤナセは改まって今日のレッスンのことに触れてきた。

「琴海様…本日のレッスンの状況を教えて頂き有難うございます。度々講義が中断したり、不快な思いをさせてしまったかもしれません。代わってお詫び致します」

ヤナセは綺麗な姿勢で、深々と頭を下げる。

「いえっ！ヤナセさんに謝って頂くようなことはなかったですから！」

セルジュのしたことなのにヤナセに頭を下げられて、慌てて両手を交差しながら弁明してしまう。

ヤナセは静かに頭をあげると、ライトブラウンの髪が柔らかく揺れ、その隙間から切な気に見詰めてきた。

「…有難うございます。琴海様が講師になられた暁には…全身全霊でお守り致しますので…」

「ヤナセさん…」

それは…どう言う意味？

問い掛けが、喉元まで出かかった時ーーーー

チーン！

狙ったようにエレベーターが到着した。

「あっ…えっと…その…」

聞くべきか…乗るべきか…
迷ってヤナセとエレベーターを交互に見やると、ヤナセは切ない表情から優しい笑顔に変わって

「クスクス…琴海様…次回レッスンにてお待ちしております」

優雅な仕草で私をエレベーターへ誘い、本日のレッスンを締めくくった。