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第44章 Lesson 仲間

ホズミは物体が当たった所を手で摩りながら後ろに振り返り、垂れがちな目でキッと睨み付ける。

「ちょっと〜！痛いじゃないの！！闇雲に飛ばさないでよこの扇子狂い！」

「失礼ですね。貴方のセクハラの方が社会的問題です」

眼鏡のレンズ越しに切れ長の瞳を光らせながら、和風顔男子が床に落ちた扇子を拾い上げた。

「んなっ！セクハラなんて失礼ね〜！」

頬を膨らませたホズミが握った両手を振り上げてご立腹ポーズを取った瞬間――――

「ホズミ！ハナブサ！座れっ！」

ドスの効いた低い声が鋭く飛んでくる。

まるで城壁みたいな体格の男は、一瞬で全てを凍りつかせる鋭い眼光で見下ろしてきた。

「もう〜いつも無愛想ね〜ワタリは」

「失礼」

巨大鷲の一喝に、ホズミとハナブサは大人しくいつもの指定席へと戻っていく。

店にきた早々に起こった寸劇に唖然とさせられたが、ラブカル四天王が揃っていることにハッと我に返る。

「皆さん、珍しく勢揃いですね〜！」

これから店長と奥さんにバイトを辞めることを伝えようしている時に、偶然にもこの四人が来店していることに動揺してしまう。

で、でもまぁ〜三人とも私が合格したのを知っているみたいだし、店長たちにはキッチンで話せばいいか…。

小さな脳みそを回転させて考え込んでいると

「チビ！お前も座れ！」

「ひゃぃっ！」

イーグルアイにギラッと睨まれ、条件反射で飛び跳ねてしまった。