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悪癖とトラウマ
第8章 一難去ってまた一難
揺れる
揺れる。
現在11:32
人の多い電車の中、
目的地まで揺られる。
『えー、次はー、鵲駅ー鵲駅でーございまーす。降り口はー…』
アナウンスが次の目的地を告げる。
今回向かうのはこの次の次の駅。鶸野駅だ。
『まもなくー、鵲駅ー、鵲駅でーございまーす。お忘れ物などー…』
揺れが小さくなり、どんどん速度が落ちていく。
ドアが開き、車内が出入りする人達で入り乱れる。
これだから電車は嫌いだ。
視線をドアの方から窓の外へと移動させる。
天気は出た時と変わらない嫌味ったらしい快晴。
しばらくぼぅっと外を眺めていると、ドアが閉まる音と共に聞いたことのある声が聞こえた。
「あるぇー?弥誌?」
「こんなタイミングに誰だよ」と軽く心の中で毒づきながら振り返ると、自分より3cm程背の高い黄土色の髪をした男が立っていた。
「…雛拓か」
「なんだよその残念そうな反応」
中尾雛拓。
中学時代の友人で、閒部経由でそこそこ仲が良かった奴だ。
人の好き嫌いがはっきりした閒部が気に入っていたから悪い奴ではない。
が、僕はどうしても距離を置いてしまう。
「これから出掛けるんだ?」
中尾は軽く僕の見なりを見てから問う。
「そうだよ」
嘘を吐く理由もない。
ここは素直に言っておこう。
すると雛拓はニヤニヤしながら
「へぇ…何?恋人でもできた?」
なんて発言をして来やがったのだ。
揺れる。
現在11:32
人の多い電車の中、
目的地まで揺られる。
『えー、次はー、鵲駅ー鵲駅でーございまーす。降り口はー…』
アナウンスが次の目的地を告げる。
今回向かうのはこの次の次の駅。鶸野駅だ。
『まもなくー、鵲駅ー、鵲駅でーございまーす。お忘れ物などー…』
揺れが小さくなり、どんどん速度が落ちていく。
ドアが開き、車内が出入りする人達で入り乱れる。
これだから電車は嫌いだ。
視線をドアの方から窓の外へと移動させる。
天気は出た時と変わらない嫌味ったらしい快晴。
しばらくぼぅっと外を眺めていると、ドアが閉まる音と共に聞いたことのある声が聞こえた。
「あるぇー?弥誌?」
「こんなタイミングに誰だよ」と軽く心の中で毒づきながら振り返ると、自分より3cm程背の高い黄土色の髪をした男が立っていた。
「…雛拓か」
「なんだよその残念そうな反応」
中尾雛拓。
中学時代の友人で、閒部経由でそこそこ仲が良かった奴だ。
人の好き嫌いがはっきりした閒部が気に入っていたから悪い奴ではない。
が、僕はどうしても距離を置いてしまう。
「これから出掛けるんだ?」
中尾は軽く僕の見なりを見てから問う。
「そうだよ」
嘘を吐く理由もない。
ここは素直に言っておこう。
すると雛拓はニヤニヤしながら
「へぇ…何?恋人でもできた?」
なんて発言をして来やがったのだ。