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明君のお母さんと僕
第1章 西瓜
光化学スモッグ注意報が発令されていたその日、僕は他人の家のトイレでマスターベーションをした。
僕が中学二年生で、十四歳の夏だ。
この手記を書くにあたって、当時の時代背景を調べてみた。
僕が十四歳の頃は昭和59年、西暦では1984年。インターネットで<昭和59年 出来事>を検索すると、「グリコ森永事件」や「ロサンゼルスオリンピック開催」などがあったようだ。カールルイスが懐かしい。
さて、そんな昭和59年の夏である。僕には一人の友人がいた。
明(あきら)君といって、その年の春に福岡県から転校してきた同級生だ。
明君は僕と似ていて、目立たない男子だった。面長の顔や一重の目なども僕と似ていた気がする。ただ、僕と違って勉強が出来た。塾にも通っていた。運動神経はそれほど良くなかったと思うが、体育の授業が何よりも苦痛で仕方なかった僕に比べれば、ずっとマシなほうだったと思う。
明君と僕がどうして仲良しになったのかは忘れてしまった。
おそらくクラスでも基本的に僕は独りぼっちで過ごしていたから、転校してきたばかりの明君は声をかけやすかったのかもしれない。
明君とは近所の公園で遊ぶことが多かった。今から思うと僕は十四歳にしては精神年齢が低かったと思う。中学二年生にもなって、公園での虫取りに夢中だった。
でも、明君も一緒に楽しんでいたのだから、同じぐらいの精神年齢なんだと思う。
明君の家に遊びに行くことになったのは、夏休みに入ってすぐのことだった。一緒に夏休みの宿題をやろうよ、確かそんな理由だった。僕は今まで友達の家に呼ばれたことがなかったので、変に緊張していた気がする。
明君の家は公営住宅で、僕の家から歩いて数分のところにあった。事前に明君から部屋番号は聞いていたので、僕は直接行くと約束していた。
エレベーターに乗って、三階の一番奥にある三〇七号室を目指した。夏の強い陽ざしが公営住宅の外廊下を歩く僕の目をチカチカさせた。
三〇七号室の前に着くと、僕はクリーム色の玄関ドアの横にあるブザーを押した。しゃあしゃあと鳴く蝉の声に紛れて、ピン、ポーンと機械音が響く。
数秒待ったが、何の反応もなかった。もう一度ブザーを押してみたが、やはり反応がない。
あれ? いない。時間を間違えたのだろうか。ワクワクしていた分、僕は結構、落胆した。
「明君、明く~ん」
僕が中学二年生で、十四歳の夏だ。
この手記を書くにあたって、当時の時代背景を調べてみた。
僕が十四歳の頃は昭和59年、西暦では1984年。インターネットで<昭和59年 出来事>を検索すると、「グリコ森永事件」や「ロサンゼルスオリンピック開催」などがあったようだ。カールルイスが懐かしい。
さて、そんな昭和59年の夏である。僕には一人の友人がいた。
明(あきら)君といって、その年の春に福岡県から転校してきた同級生だ。
明君は僕と似ていて、目立たない男子だった。面長の顔や一重の目なども僕と似ていた気がする。ただ、僕と違って勉強が出来た。塾にも通っていた。運動神経はそれほど良くなかったと思うが、体育の授業が何よりも苦痛で仕方なかった僕に比べれば、ずっとマシなほうだったと思う。
明君と僕がどうして仲良しになったのかは忘れてしまった。
おそらくクラスでも基本的に僕は独りぼっちで過ごしていたから、転校してきたばかりの明君は声をかけやすかったのかもしれない。
明君とは近所の公園で遊ぶことが多かった。今から思うと僕は十四歳にしては精神年齢が低かったと思う。中学二年生にもなって、公園での虫取りに夢中だった。
でも、明君も一緒に楽しんでいたのだから、同じぐらいの精神年齢なんだと思う。
明君の家に遊びに行くことになったのは、夏休みに入ってすぐのことだった。一緒に夏休みの宿題をやろうよ、確かそんな理由だった。僕は今まで友達の家に呼ばれたことがなかったので、変に緊張していた気がする。
明君の家は公営住宅で、僕の家から歩いて数分のところにあった。事前に明君から部屋番号は聞いていたので、僕は直接行くと約束していた。
エレベーターに乗って、三階の一番奥にある三〇七号室を目指した。夏の強い陽ざしが公営住宅の外廊下を歩く僕の目をチカチカさせた。
三〇七号室の前に着くと、僕はクリーム色の玄関ドアの横にあるブザーを押した。しゃあしゃあと鳴く蝉の声に紛れて、ピン、ポーンと機械音が響く。
数秒待ったが、何の反応もなかった。もう一度ブザーを押してみたが、やはり反応がない。
あれ? いない。時間を間違えたのだろうか。ワクワクしていた分、僕は結構、落胆した。
「明君、明く~ん」

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