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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
穂乃果はずっと掴んだままだったドラゴンの絵に気付いた。知らず知らず力が入ってしまっていたのか、強く握っていた角《かど》だけが寄れている。
壁にズラリと並んだドラゴンの絵たち。真っ黒いものばかりの中に、いくつかカラーを見つけた。ピンク、青、茶、オレンジ。そして、正面の壁に額に入れて飾られていたのは、レインボーのドラゴンだった。赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の順番で、部位は関係なく、虹のように七色で塗られたカラフルなドラゴンだ。
ーーほのちゃんは何色が好き? 何色のドラゴン描いてほしい?
ーーそうね、じゃあレインボー。七つ使ってカラフルにして
十日ほど前のやり取りを思い出す。美桜はちゃんと穂乃果のリクエスト通りのものを仕上げてくれていたのだ。
それも、額にまで入れて飾ってくれていた。
「美桜!」
穂乃果は部屋を飛び出し、玄関に向かった。引き戸を開けた瞬間、買い物帰りらしい美桜の母とぶつかりそうになる。
「あらほのちゃん、来てたの? もう帰るの?」
違う、美桜が。
口を開きかけて、声が出なかった。
自分のせいで、美桜が。
遠くで雷鳴が鳴った。雨が降り出していた。
「また夕立ちね。止むまでうちにいてもいいわよ」
「……っ」
穂乃果は首を振り、美桜の母から逃げるように外へと飛び出した。心臓はずっとバクバク鳴っている。美桜の行き先は、あの山しかないと思った。

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