この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
誘われたら行かなきゃ。興味がなくても、楽しもうとしなきゃ。家にある野菜でも、好意でくれるなら受け取らないと。学校も、小さな町のコミュニティも、追い出されたら行き場なんてない。
「ドラゴン探しはもうおしまいにしよ。いないんだよ、ドラゴンなんて」
穂乃果はもう一度否定の言葉を繰り返した。
美桜のまん丸の瞳が、これ以上ないほどに大きくなった。
弾かれたように立ち上がり、美桜は両腕を振って叫んだ。
「いるよ! あたし本当に真っ黒なドラゴンを見たの! 炎を吐いて帰り道を教えてくれたの!」
「そんなわけ……」
「嘘じゃない! 嘘じゃない、嘘じゃない……!」
首を横に何度も振り、机をだんだんと叩く美桜。
「ドラゴン、探してくる……!」
「美桜!」
美桜は部屋を飛び出した。玄関の引き戸を開ける音と、間髪入れずに勢いよく閉まる音も響いた。
居間に残された穂乃果は呆然と立ち尽くす。
天気が崩れそうだった。もしまた夕立が来たら。
だが、穂乃果は自分が間違ってるとは思っていなかった。ドラゴンなんているわけがない。いないものは探せないし、存在しないのだから、山に何度行ったところで会えるわけがないのだ。
(まさか美桜、山に)
血の気がすーっと引いていく。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


