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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
また、光った。今度はすぐに音も鳴った。ばりばりばり、と雷鳴が轟く。
山の中はどこもかしこも暗闇で、逃げ場なんてない気がした。
「あ……」
地面がわずかに凹んでいた。穂乃果は躓き、そのまま突っ伏してしまう。美桜の体も前方へと投げ出された。
「ごめん、美桜……」
駆け寄ろうとするも、すぐには立てなかった。穂乃果の息も上がっている。どうにか美桜の方に這い寄り、上体を起こした。
雨水が溜まり、地面は濡れていた。ポケットのスマートフォンを取り出し周囲を照らすと、すぐそばに大きな木があった。
どうにか美桜を抱き抱えて、その幹にもたれさせた。
木の下は、雨と風をほんの少しだけしのぐことができた。
また、空が光る。雷が鳴ったら木のそばに逃げてはいけない。高い木は、地面よりも雷が落ちやすいから。そう父に教わっていたが、ずぶ濡れの状態はとても寒かった。少しでも雨や風をしのぎたい。同時に体も疲弊しきっていて、もう一歩も歩けない。
「美桜、大丈夫?」
美桜は緩慢に振り向き、微かに頷いた。
美桜の左手を握る。冷たかった。
どうしたらいいかもわからなかった。スマートフォンは変わらず圏外の表示で、連絡もできない。このまま死んでしまうのかもしれない、と思ったら、穂乃果の目から涙が溢れる。
雨水が全部洗い流してくれるから、美桜の前で泣いてもいいと思った。

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