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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
「ほのちゃん……山に入って、ごめんなさい」
「ううん、あたしこそ……」
声が震え、穂乃果の言葉は途切れる。かわりに嗚咽が漏れた。
涙は隠せても、声や肩の震えは隠せなかった。
「泣かないで。ほのちゃんの手、冷たい」
「美桜の方が冷たいでしょ」
ぎゅっと握る。美桜は強く握り返してはくれなかった。
やがて、美桜の体がずるずると穂乃果の方に倒れてくる。
「美桜……!」
美桜は死んでしまう? ロボットも、死ぬんだろうか。
穂乃果はなすすべもなく上空を見上げた。誰にも言わなかった。助けはこない。
せめて美桜の母にちゃんと話していたら、こんなことにならなかった。自分のせいで、美桜が。
その時だった。
再び上空が光った。暗闇を照らす一瞬の稲光。それが照らした遠くの大きな岩の形に、穂乃果はデジャブのようなものを感じた。
また雷鳴が鳴った。さっきより、少し間を空けて聴こえた。
穂乃果はじっと、同じ場所を見つめた。
また、光った。
(あれは……)
雷鳴。穂乃果は目を逸さなかった。
そして、次の稲光でひらめいた。
(美桜が描くドラゴンだ!)
気のせいじゃなかった。
稲光が照らした岩の形が、美桜が描く絵にそっくりだったのだ。横向きに伸びた首と、翼のような出っ張り。もう何度も何百回も見てきたそれを、間違うはずがない。
(ドラゴンはいたんだ……)

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