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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
きっとこの場所から見えるあの岩が、たまたまドラゴンの形に見えたのだ。偶然、ここがあの日美桜がドラゴンに出会った場所だった。昼間どんなに探しても、明るい中じゃ見つかるはずがなかった。
「美桜! ねえ美桜! あれのこと? 美桜が見たドラゴンて」
「……ん」
美桜は油の切れたゼンマイ人形のように、ゆっくりと上空を見上げる。光の失われた瞳に、生気が戻ったような気がした。
「そう! 真っ黒いドラゴン! やっと会えた……」
「本当にいたんだね。ごめんね、疑ったりして」
その時だった。突然サイレンが鳴り響いた。防災用のものだと理解する。
赤いランプの光も微かに届いていた。また、稲光。防災用のランプの赤が、ちょうど黒いドラゴンが炎を吐いているように見えた。
「あの、炎の方に歩いたの。そうしたら、山を降りられた」
町までの道しるべになったのだ。
穂乃果は頷いて、スマートフォンのライトをドラゴンが吐く炎の方向に向けた。
自力では美桜の体を連れて下まで行くのは厳しかった。でも、探しに来てくれたら。この光に気付いてくれたら。
穂乃果はドラゴンに願った。
美桜の手を握り、助けを待ち続けた。

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