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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
母から「見つかった」と連絡があったのは、朝方だった。近くの山のふもと付近にいたという。予想した通りだった。その知らせを聞いた瞬間、穂乃果の心臓がバクバクと早鐘を打った。
穂乃果は階段を駆け下りた。外に飛び出すと、雨上がりの湿った匂いが鼻腔をくすぐり、きらきらと露が葉を濡らしていた。遠くから、穂乃果の母と父が歩いてくる。美桜の父の姿もあった。近所の大人達もいた。
そして美桜の父に抱きかかえられた美桜自身の茶色い癖っ毛が見えた瞬間、穂乃果は心底ホッとして、そのばにしゃがみ込んだ。
美桜は父の腕から飛び降り穂乃果にかけ寄ってくる。嵐の中、半日近く山にいたという美桜の服は土や埃で汚れていた。そしてその小さな腕に、美桜の背の半分はあるんじゃないかというほどの、大きなタケノコを抱えていた。
穂乃果はその姿を確認するなり、その場から動けなくなった。さぞ心細く不安で、怖い一夜だったに違いない。穂乃果はたった一人で嵐の中を過ごしていた美桜の心情を思い、ボロボロと涙を流す。どうして山になんか入ってしまったのか。穂乃果は心の中で美桜を責める気持ちを止められなかった。
あんな話を真に受けて。
だが、美桜の表情はまったく違っていた。白い頬を朱色に染め、目を輝かせ、うっとりと微笑んでいる。
まるで恋でもしているみたいに。
タケノコを穂乃果に差し出し、弾むように言った。
「ほのちゃん、あのね! あの山にドラゴンがいたの! ドラゴンがあたしを助けてくれたの!」
そうして近くの山を指差すのだった。

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