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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
「穂乃果、今日からこの町に越してきた、美桜ちゃん。穂乃果より二個下だって。仲良くしてね」
家に母親に連れられ挨拶に来た、小さな女の子。それが美桜だった。肩くらいまでの髪で、毛先がはねていたのを覚えている。
「よろちくお願いします」
美桜はぺこりと頭を下げた。可愛い。
近くに歳の近い子は居なかったから、すぐ近くに越してきたと聞き穂乃果はとても嬉しかった。
「よろしく!」
一緒に遊ぶ友達ができる。穂乃果は跳ねるように、美桜に向かってお辞儀をした。
二人はすぐ仲良くなった。美桜が小学生になってからは、登下校も一緒にし、なおのことよく遊ぶようになった。お互いの家にも行き来している。
そうしてあの日。美桜が一人で山に入り、ドラゴンに恋焦がれて帰ってきたあの朝を境に、美桜の生活の中心はドラゴンになった。毎日ドラゴンの絵を描き、天気がいい休日はドラゴンを探しに山へと入るようになった。もちろん美桜の親と一緒に。
毎日毎日同じ絵ばかり描く美桜に、穂乃果はだんだんうんざりしてきた。だが、それを感じ取ったらしい美桜の母に、こう言われたのだ。
「ごめんね、ほのちゃん。美桜のやることを、あんまり否定しないであげてほしいの」
美桜の母の瞳が、そっと瞼の奥に消える。口元に人差し指を当てた。
「ここからは人に言っちゃダメよ。美桜はね」
そうして美桜の秘密を教えてくれたのだった。

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