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白波
第1章 白波
逃亡生活が長引けば長引く程、最後に他人と床を共にした記憶が遠ざかる。今の状況下で褥に誘う相手は見つからない。
そんなことを思ったある日、ふともう一人の女のことが思い浮かぶ。
似たような思いをしているはずの女に肉欲をぶつけることを考え始めたのはその日だった。
その後、旅館の帳場や階段、また旅館周辺の何ヵ所かで会った繭実と小鳥は、どこか一室で同じ時を過ごす約束を交わした。
真意は伏せたが、同じ境遇の女同士互いの魂胆が一致していることを確信している。
約束の当日、小鳥は扉を開いて部屋に入り、そこに泊まっている繭実と顔を合わせる。
さりげなく見た相手の目は普段より据わっていた。
瞳の中に映る自らの姿を追うように接近する二人。
生暖かい吐息を浴びながら目の前の女の容貌を鑑賞する。
繭実と小鳥は顔を寄せて唇を重ねる。柔らかい感触を楽しんでいると唇の間からお互いの涎が湧き出てくる。
相手の口内の隙間へと舌先を突き刺す。舌と舌が絡まって動きが鈍る。その間にもお互いの涎が流れ出て混ざってゆく。口元から液体の存在を物語る音が小さく立ち始める。
繭実は相手の膝の上側へ手を移す。指先を後ろへ滑らせ、太ももの裏をなぞる。尻に達すると、肉の割れ目に指を沿わせ、割れ目に近い肉を揉み出す。
小鳥は相手の首筋へ手を移す。下顎の真下を正面から包み込むように触れ、胸元の方に向かって撫でてゆく。胸元まで下りると、片方の胸を手で覆って持ち上げる。
女達は唇を離す。手の甲で口元を軽く拭う。
両者とも自らの衣服に手をかける。服の上からうっすらと分かる体の輪郭に沿って、身に付けていたものを自分の外側へと滑らせてゆく。
一切の布を足元に落とす。
仄かな熱気を放つ体を余すところなく晒す。相手の放つ熱気も全身に感じられる。
目の前の獲物の全貌が顕になると、体中を活力が巡ってたちまち落ち着かなくなる。
飛びかかるような勢いで抱き付き合う二人。
相手の側頭部を手で覆い、髪に指を絡めて引っ張り始める。

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