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如月茜(きさらぎ あかね)
第7章 シーン1:教室の片隅、熟成(トリートメント)の葛藤
『もしもし? 美咲ちゃん、どうかしたかい? こんな時間にかけてくるなんて……』
電話口から聞こえてきた茜の穏やかな声に、美咲はすっかり気が大きくなっていた。
少女は小声で
「あ、茜さん、ごめんなさい! 私、今授業中なんですけど……こっそり抜け出して、女子トイレで1人でエッチしちゃいました!」
「 でも、これでいいのか、とろとろ液の出し方というか……って、なんでもないですっ! 」
「…あの、どうしたらいいか、何かアドバイスありますかっ……!?」
トチ狂った質問を恥じらいもなくぶつけてしまった美咲。
しかし、電話の向こうの茜は、驚きもしなければ呆れもしなかった。
彼はただ、すべてを包み込むような深い慈愛と、ほんの少しの遊び心を帯びた声で、静かにこう囁いたのだ。
『ふふ。……今、授業中なんだろ?』
「は、はい……!」
「だったらね、そうだな……。今すぐそこを抜け出して、体育教官室前の廊下にでも行ってみなさい。……そしたらまた、次の指示を出してあげるからさ」
「体育教官室……っ!」
その甘美で、絶対的な命令の響きに、美咲の全身に再びビビッドな電流が走った。
「はいっ、すぐ行きます……!」と息を弾ませ、
美咲はドロドロに濡れたパンツを穿いたまま、誰もいない校舎の廊下を、新たな聖戦に向けて駆け出すのだった。
美咲は心臓の鼓動が耳元でうるさいほど鳴り響く中、息を整えながら再びスマートフォンを耳にあてた。
「あ、茜さん……! ぜえぜえ……。」
「今、体育教官室の前に来ました……。ここから、どうすればいいんですか……?」
電話の向こうで、茜はどこか楽しげな、しかし冷静なトーンで指示を返してきた。
「よく頑張ったね、美咲ちゃん。」
「中にはきっと、授業の合間で待機している体育の先生がいるはずだ。……ねえ、美咲、ちょっとその中に入って、先生にこう言ってみごらん。「お腹が、どうしても痛いんです」って」
「え……っ、体育の先生にですか……?」
「……それって……私が、体育の先生に言うんですか……?」
誰もいない自室の中で、美咲は小刻みに震えながら画面を二度、三度と見返す。
「さすがに……それは無理です……! 体育の先生にそんなこと言うなんて、頭がおかしくなっちゃう……!」
「無理、無理、絶対に無理……! どうしよう、どうしよう……っ!」

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