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如月茜(きさらぎ あかね)
第11章 『オルゴールはどこで狂う』と『先生たちの実験室』
美咲に向き合った茜は、どこか興味深そうな、しかし絶対的な余裕を湛えた笑みを浮かべて静かに尋ねた。
「ねえ、美咲ちゃん。……美咲にとっての初めての『初体験』は、やっぱり僕が最初になるのかな? それとも、あの村上先生だったっけ……。彼になるの?」

その問いかけに、美咲はほんの少しだけ顔を赤らめ、気まずそうに、しかしどこか申し訳なさそうな色を浮かべて俯いた。
「あの……それが、私にとっても……とっても残念なことなんだけどさ……」

美咲はちらりと茜の様子を伺いながら、観念したように正直に、素直な言葉を紡ぎ出す。
「……あの村上先生の方が、先だったの……」

しかし、その答えを聞いた茜は、怒るどころか、微塵も動揺する様子を見せなかった。彼はただ優しく目を細め、穏やかに頷く。

「うん、別に美咲ちゃんは何も悪くないよ。」

「ただ…ただね、美咲ちゃん、大人っていうのにもルールがあってさ。」

「そんな美咲ちゃんを『中出専用便器』とか、そんな風な言い方……うーん、そこらへんだよね、問題は」

不安そうな瞳で茜の顔を見上げ、震える声で尋ねる。
「え……じゃあ、もう先生たちと会えないの?」

「ううん、別にそういうわけじゃないよ」

茜は優しい笑みを浮かべながら、美咲の不安を包み込むように首を横に振った。
「ただね、先生たちにちょっとお話ししないといけないことが、大人からするとあるからさ」
「せ、先生たち……怒られちゃうの?」

「ううん、大丈夫。その辺はね、僕とママがちゃんと話してくから。今まで通りにはいかないかもしれないけどね。ね?」
茜は優しく微笑むと、少しだけトーンを落として続けた。

「ちょっと、大人たちが美咲ちゃんの扱い方……乱暴すぎだったねって、ちゃんと注意するだけだから」
「別に、僕たちが先生を怒るために会うわけじゃないんだよ」

「むしろこれを機に、ほら、僕たちも先生たちと仲良くなってさ。」

「もしかしたら、先生たちがこのお家に遊びに来るようになるかもしれないじゃない?」
「え……?」
予想もしていなかった茜の言葉に、美咲は目を丸くしてパチパチと瞬きをした。
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