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父に刻印された身体
第2章 交錯するまなざしと隠された欲動
父はどこまでも優しく、私を「可愛らしい娘」として愛してくれている。けれど、私の心と身体は、もう「娘」という枠組みには到底収まりきらなくなっていた。この一線を越えてしまいたいという欲望と、言葉にしてしまえば二人の平穏が崩壊するという恐怖。その狭間で揺れながら、私は秘密の想いを胸の最奥に固く封印する。しかし、蓋をすればするほど、父への想いは濃密な熱を放ち、私の全身を侵食していくのだった。
 
 どれほど背伸びをし、どれほど艶やかな服をまとおうとも、父の瞳に映る私は、結局どこまでも「幼い娘」の枠を出なかった。

鏡の前で時間をかけて肌を整え、唇にほのかな蜜色のリップを引く。大人びたウェーブヘアをなびかせ、滑らかなデコルテに細いチェーンを這わせるたび、私は父親の視線を予感して、甘い緊張に息を呑んだ。
けれど、リビングへ降りていくと、父はいつもの温かな眼差しで「よく似合っているよ、梨亜」と微笑むだけだった。その無垢な言葉に触れるたび、私たちはいつまでも「父と娘」という決して越えられない線の上にいるのだと思い知らされる。近くて遠いその距離がもどかしく、満たされない思いはただ静かに、けれど確実に熱を帯びて胸の奥に澱んでいった。

(もっと、私の身体を見てほしい。)

ただの愛娘ではなく、肌を重ねたくなるようなひとりの女として、その瞳を熱く濡らしてほしい。
そんな歪んだ欲望が育っていくほどに、変わらぬ無償の親愛で私を包み込む父の理性が、冷たい刃となって胸の奥に疼いた。

休日のショッピングで、わざと胸元の少し開いた服や、体のラインをなぞるタイトな服を選び、試着室のカーテンをゆっくりと開ける。父の視線を引きつけるようにそっと胸を張り、上目遣いで反応を待つ瞬間、私の鼓動は痛いほど高鳴っていた。けれど、父はどこか照れくさそうに目を細め、「可愛いよ」と呟くだけ。それ以上、私の身体を突き分けるような眼差しを向けようとはしない。
「可愛い」——子供を愛でるようなその無垢な評価が、私が求めていた「男としての渇き」と決定的に掛け離れていることが、悲しくて、そして悔しかった。
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