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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
どれくらいの時間が経っただろう。
静まり返った部屋に、カチャリとカップとソーサーが触れ合う上品な音が響いた。
「少し、落ち着いてきましたか?」
振り返ると、川島が優しい笑みを浮かべながら、湯気の立つ温かいハーブティーのカップを手にベッドサイドへ歩み寄ってきていた。
「……はい、ありがとうございます……」
恥ずかしさからベッドのシーツに顔をうずめたい衝動に駆られながらも、咲希はゆっくりと上体を起こし、差し出されたカップを受け取る。
ふわりと立ち上るカモミールとミントの香りが、高ぶっていた神経を心地よく鎮めてくれるようだった。
ティーカップにそっと口をつけ、温かい液体を喉に通すと、乾いていた身体の隅々にまでじんわりと安堵が広がっていく。
その様子をベッドの脇に置かれた椅子に腰掛けながら穏やかなまなざしで見守っていた川島は、やがて静かに口を開いた。
「初めてのことでしたが…いかがでしたか? 自分の身体が迎えたあの変化は、咲希さんにとってどんなふうに感じられましたか?」
それは、今日この場所で起きたことの意味を、ゆっくりと言葉にして紐解いていくような問いかけだった。
「……自分、じゃないみたいで……。なんだか、すごく不思議でした……」
咲希は恥ずかしさで真っ赤になった顔を両手で少し覆い、かすかな声でそう呟いた。
先ほどまで自分の喉から漏れていた甘い声や、身体が勝手に求めてしまった反応の数々を思い出すと、今でも胸の奥が熱くなる。
その答えを聞いた川島は、優しく頷きながら、まるで包み込むような落ち着いた声で語り始めた。
「不思議に思われるのも無理はありません。でもね、それはあなたが本来持っている、とても自然で素晴らしい反応なんですよ」
川島はゆっくりと言葉を重ねる。
「咲希さんは、決して不感症などではありません。ただ、過去のトラウマや恐怖心という余計なものが邪魔をして、ご自身の素直な感覚を閉じ込めていただけなんです。今日、こうしてその壁を一つ乗り越えて、ご自身の身体の声をちゃんと受け止めることができましたね」
咲希は胸のつかえがスッと軽くなっていくのを感じた。
「今日のこの感覚をしっかりとご自身のものにして、さらに自分の身体や心に自信をつけていくために……。あと数回、このカウンセリングを続けてみましょうか」
「――はい、お願いします……」
静まり返った部屋に、カチャリとカップとソーサーが触れ合う上品な音が響いた。
「少し、落ち着いてきましたか?」
振り返ると、川島が優しい笑みを浮かべながら、湯気の立つ温かいハーブティーのカップを手にベッドサイドへ歩み寄ってきていた。
「……はい、ありがとうございます……」
恥ずかしさからベッドのシーツに顔をうずめたい衝動に駆られながらも、咲希はゆっくりと上体を起こし、差し出されたカップを受け取る。
ふわりと立ち上るカモミールとミントの香りが、高ぶっていた神経を心地よく鎮めてくれるようだった。
ティーカップにそっと口をつけ、温かい液体を喉に通すと、乾いていた身体の隅々にまでじんわりと安堵が広がっていく。
その様子をベッドの脇に置かれた椅子に腰掛けながら穏やかなまなざしで見守っていた川島は、やがて静かに口を開いた。
「初めてのことでしたが…いかがでしたか? 自分の身体が迎えたあの変化は、咲希さんにとってどんなふうに感じられましたか?」
それは、今日この場所で起きたことの意味を、ゆっくりと言葉にして紐解いていくような問いかけだった。
「……自分、じゃないみたいで……。なんだか、すごく不思議でした……」
咲希は恥ずかしさで真っ赤になった顔を両手で少し覆い、かすかな声でそう呟いた。
先ほどまで自分の喉から漏れていた甘い声や、身体が勝手に求めてしまった反応の数々を思い出すと、今でも胸の奥が熱くなる。
その答えを聞いた川島は、優しく頷きながら、まるで包み込むような落ち着いた声で語り始めた。
「不思議に思われるのも無理はありません。でもね、それはあなたが本来持っている、とても自然で素晴らしい反応なんですよ」
川島はゆっくりと言葉を重ねる。
「咲希さんは、決して不感症などではありません。ただ、過去のトラウマや恐怖心という余計なものが邪魔をして、ご自身の素直な感覚を閉じ込めていただけなんです。今日、こうしてその壁を一つ乗り越えて、ご自身の身体の声をちゃんと受け止めることができましたね」
咲希は胸のつかえがスッと軽くなっていくのを感じた。
「今日のこの感覚をしっかりとご自身のものにして、さらに自分の身体や心に自信をつけていくために……。あと数回、このカウンセリングを続けてみましょうか」
「――はい、お願いします……」

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