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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
「これから、内診というお股を見る検査をしていきますが……山下さんは、これまでに他の婦人科などで内診をしたことはありますか?」
静かで、責めることのないトーンの問いかけに、咲希は小さくうなずいた。
「はい……。何度か、あります……」
「そうですか。緊張しましたよね。今回は、まずは子宮や卵巣などに病気が無いか、お体に何かトラブルが隠れていないかを確認するところから始めていきましょうね」
「……はい、わかりました」
咲希の答えを聞くと、川島はホッとしたように柔らかくうなずいた。
「では、このままベッドに横になり、膝を立てましょうか」
咲希は戸惑いながらもベッドに横たわった。
すると、川島が手元のリモコンのようなボタンを押したのだろうか。
ウィーンと静かなモーター音が響き、ベッドの形状がなめらかに変形し始めた。
背もたれが少し起き上がり、下半身のマット部分がゆっくりと動いて、咲希の脚が自然と左右へ大きく開かれる形へと形を変えていく。
「はい、楽にしてくださいね。私の顔が見える位置になっていますから、怖くなったら私を見ていて大丈夫ですよ」
よくある内診台とは違いカーテンがない為、真正面には穏やかな微笑みをたたえた川島医師の顔がある。
足元が大きく開かれる恥ずかしさと恐怖に襲われそうになったが、その優しい眼差しのおかげで、咲希はかろうじて呼吸を整えることができた。

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