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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
「よく頑張って呼吸できていますよ。次は、おりものの検査をしますね。細い綿棒で少し拭き取らせてくださいね」
川島の落ち着いた声が聞こえたかと思うと、そっと差し向けられた綿棒が、敏感に粟立つクリトリスの周りを優しく撫でるように滑らせ、分泌液をぬぐい取った。
「んっ……」
冷たい綿棒の感触と、あまりに無防備な格好をさらしている現実への恥ずかしさに、咲希は再び身体をこわばらせた。
「はい、お疲れ様でした。では次に、超音波の検査をしましょうか。奥の状態を確認するために、細いプローブを膣の中へ挿入しますね」
その言葉に、咲希の心臓が恐怖でドクンと跳ね上がった。
「あ……っ、痛いかもしれない……怖い、です……」
反射的に涙を浮かべ、腰を引こうとした咲希を見て、川島は動きを止め、そっと声を和らげた。
「大丈夫、無理はしませんよ。力が入ると余計に痛くなってしまうから、一緒にゆっくり呼吸を合わせながらいきましょうね」
桐島は自分の呼吸をゆっくり見せながら、咲希のペースに合わせて息を吸い、吐く。
「そう、吐きながら……息を吐くときに、体の力をふっと抜いていきますよ……せーの、すって……はい、吐いて……」
その優しいリードに合わせるように、咲希が細く息を吐き出した瞬間、川島は滑らかなジェルを塗った細い超音波の器具を、そっと膣口へと当てがい、ゆっくりと奥へと滑り込ませた。
「んっ……あ……っ」
異物が入ってくる感覚と、「痛かったらどうしよう」という恐怖で、咲希の体が反射的にキュッと硬直しかける。
「力を抜いて、息を吐いて……大丈夫ですよ、力をほどいていきましょうね……」
桐島の手の温もりと、穏やかな誘導の声が、固まっていた咲希の神経を少しずつほぐしていく。
冷たいはずの機械が体内に収まるにつれ、恐怖で張り詰めていた緊張が、トクトクと脈打つ痛みに変わる手前でふっと和らいでいくのが分かった。

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