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第15章 ２人の母親

この前より、その言葉はひどくなっていた。


「あの女はね！男作ったのよ！」


蓮の表情が凍りついた・・・。


「なんだよ・・それ・・」


「あの女は、先にお父さんを裏切ったのよ・・
　あの女は、男好きでお父さんは困ってたそうよ・・・分かった？　
　あなたの本当の母親の本性！！男好きだったの！！
　あなたもバカね、そんな女の事いつまでも母親だって思ってるの・・」



「やめて・・・やめて下さい・・・」


私は、どうしても聞かせたくなかった。


私だって動揺してるのに、蓮は更に動揺してるもん・・・。


「私の事は何を言われても構いません！でも、蓮と、蓮のお母さんの事は悪く
　言わないで！お願いします。蓮のお母さんはそんな人じゃない！
　優しくて・・・すごく穏やかで・・・すごく良い人だった・・・」


自然と涙が溢れてくる・・・止める事はできなかった。


「あなたに何が分かるの？何も知らないんだから黙ってなさい！
　これは家族の問題なのよ！」


「私は、蓮の家族のつもりで居ます・・。確かに、籍は入れてませんが
　今は、私が蓮の家族です・・・。蓮の事分かって無いのはあなたです！
　蓮は・・・ワガママじゃない！蓮は・・・短気なんかじゃない！！
　・・・・・うっっ・・く・・・」


涙が止まらない・・。泣いてる自分も悔しくなってくる・・。


「七海・・・大丈夫だから・・ごめんな・・・ありがとう・・・」


蓮は私をそっと抱きしめる。その腕は優しくてさっきまで怒りで震えてたのが


嘘のようだった・・・。


「家族？私は認めないわよ！今度はお父さんと来ますから！
　ちゃんと話をしなさい！分かったわね！！」


そういうと、お母さんは凄い勢いで出て行った。