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第5章 無言電話・・・。

「新しい店の場所は、引っ越しした所から少しは離れてるが通えない範囲ではないし
　給料も上げるって言ってるんだけどね・・・」


何て、良い話！！


でも、蓮には蓮の考えがあるんだろう・・。


「蓮？どうして断っちゃうの？私は良い話だと思うけど・・・」


蓮は・・・


「自信が無いんだ・・・経営の経験も無いし、料理の腕も店長になれる腕は持ってない
　もし、ダメだったらって考えると自信がなくなるんだ・・・もし、ダメになったら
　スタッフの人にも、ここまで育ててくれたオーナーにも迷惑かける気がして・・」


凄く、蓮が弱く見えた。


初めて、こんな姿見た・・・最近、悩んでるのってこれだったのか・・・


「私の事は考えなくて良いって言ってるだろ？」


オーナーは蓮を説得している。


「蓮・・・私・・・私は引き受けるべきだと思う・・・」


口が勝手に話していた。


「でも・・・」


「ううん！蓮なら出来ると思う・・・根拠は無いけど、長年見てきた私だから
　蓮は出来ると思うんだよ・・・。店長になる自信が無いって言うけど
　最初はみんな、自信が無いんじゃないのかな・・・でも、試行錯誤して
　みんな前を向いて行くんじゃないのかな？？」


３人は私の話を黙って聞いていた。


「それに・・・私、蓮が作ってくれる料理、大好きだよ、凄く美味しいし
　蓮の料理食べると凄くほっとするよ、その味を色んな人に食べてもらいたいな
　子供も大人も、お年寄りも、みんなに食べて欲しいなぁ。
　一人で食べても笑顔になるんだから、
　家族で食べたら、きっとみんな笑顔になれる料理だと思う」


この言葉は妻としての役目など関係なく素直な言葉だった。


「ダメになりそうな時とか、心折れちゃいそうな時は、私が支えるから・・・
　今度は、私が蓮を支えるから・・・」


これも、私の素直な言葉・・・いつも助けられてきた


いじめられてる時も、痴漢にあった時も、父親とけんかした時も


小さいころからいつでも蓮が助けてくれたから。


「七海・・・ありがとう」


蓮は握ってる手を強く握り、笑顔になっていた。