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秘密の回転寿司
第1章 激安の秘密
「佐伯君、今回は世話になったから、今度寿司をごちそうするよ」
得意先の社長にそう言われ、俺はカウンターで板前が握る高級な寿司を想像していた。
…が、社長に連れて来られたのは、最近流行りの回転寿司。
しかも「激安」で有名な店だった。
…なんだ、社長が「寿司」なんて言うからすごい所を想像したけど、金持ちはケチだ、という典型的なタイプなんだな。
俺は落胆ぶりを悟られないように、つとめて明るく言った。
「社長、ここって最近有名になった店ですよね。話題の店はもうチェック済みなんてさすがですね」
「ははは。正直に言っていいんだよ。『寿司』というからカウンターを想像しただろう?」
「社長にはかなわないなぁ。その通りです。でもいち早く話題の店に連れて行ってもらえるのは光栄ですよ」
これは正直な気持ちだ。
「まあ、激安寿司は前座みたいなもんさ。本当のお楽しみはその後にあるんだ」
「『本当のお楽しみ』?」
寿司屋に行くのに寿司以外に何が楽しいと言うのだろう。
わけがわからない俺に、社長は「後でわかるさ」と意味深に微笑んだだけだった。
得意先の社長にそう言われ、俺はカウンターで板前が握る高級な寿司を想像していた。
…が、社長に連れて来られたのは、最近流行りの回転寿司。
しかも「激安」で有名な店だった。
…なんだ、社長が「寿司」なんて言うからすごい所を想像したけど、金持ちはケチだ、という典型的なタイプなんだな。
俺は落胆ぶりを悟られないように、つとめて明るく言った。
「社長、ここって最近有名になった店ですよね。話題の店はもうチェック済みなんてさすがですね」
「ははは。正直に言っていいんだよ。『寿司』というからカウンターを想像しただろう?」
「社長にはかなわないなぁ。その通りです。でもいち早く話題の店に連れて行ってもらえるのは光栄ですよ」
これは正直な気持ちだ。
「まあ、激安寿司は前座みたいなもんさ。本当のお楽しみはその後にあるんだ」
「『本当のお楽しみ』?」
寿司屋に行くのに寿司以外に何が楽しいと言うのだろう。
わけがわからない俺に、社長は「後でわかるさ」と意味深に微笑んだだけだった。