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「私が欲しいですか?お嬢様」
第10章 執事〜保護欲〜
「颯太さん、ちゃんと寝てますか?」

静かで広い廊下を2人で歩く。

「寝ていますよ。お嬢様は
ちゃんと眠れていらっしゃいますか?」


人の心配をよそに
この人は人の心配ばかりする。
あたしにはそう見える。

「あたしは大丈夫です…」

颯太さんはあたしの顔を
少し覗き込むようにして


「私がそばにいた方がよく眠れますか?」

思いがけない質問に
目を見開いて颯太さんを見た。
颯太さんはニッコリと
まるであたしがそういう反応するのを
わかっていたかの様な顔をしていた。



「ひっどい!
またからかったんですね!?」


あたしは颯太さんを置いて
ズンズン早歩きした。
颯太さんは初めて会った時から
あたしの反応をまるで
楽しむ様な事ばかりしてくる。


その通りのまま反応してしまう
自分にも腹が立った。

そんな事はお構いなしに
颯太さんはからかってくる。


「お嬢様、ムスッとしていると
そういう顔になってしまいますよ?」


「誰のせいですか!」

もうっ!


「お嬢様は本当に
可愛い方ですね」


またっ!
もう知らないっ!
とズカズカ歩くが
すぐに追いつかれてしまった。


「あまり早く歩きますと
転んでしまわれますよ?」


ふんっ!
そんなわけなっー!!!

「あっ!」


情けない事に
何もないところで躓いてしまった。

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