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「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜
「月が、きれいですね」
あたしの隣で
颯太さんが夜空を見上げる。
「うん。とても…
なんだか不思議。
こうやって颯太さんとここにいるの」
「私を専属に選んだ時には
毎日こうして月を二人で
見たいものです」
専属か…
「ふふ、そうですね」
颯太さんが専属になったら
こうやって毎日一緒に月を見て
お話ができるのかな。
「でも…専属になっても
お嬢様は嫌だな〜」
「では、早くキスの仕方が
上手くならないといけませんね」
颯太さんは企みの笑みを見せる。
「もうっ!またそうやって!」
颯太さんはベランダの柵へ
寄りかかり両手を広げる。
「リベンジ、いたしますか?」
まるで ''おいで'' と
言われているような感覚。
颯太さんの顔は優しく微笑んで
さぁ…と言った。
お嬢様と呼ばれないために
始めたことなのに
本当はあたし、キスがしたいだけ
なのかもしれない。
けど、そんな思いに蓋をして
あたしは颯太さんに言った。
「…これが上手くできたら
今度こそ本当に彩芽で呼んでくださいね」
「もちろんでございます」
あたしは両手を広げて待つ
颯太さんに少しずつ近づく。
颯太さんの元へ辿り着くと
フワッと腰に手が回され抱きしめられる。
心臓の音が聞こえる。
これはあたし?
それとも颯太さん?
あたしよりも全然背の高い
颯太さんの胸元に手をあて
少し背伸びをした。
唇がすぐにでも触れそうな距離。
颯太さんとあたしの
息遣いが重なる。
あたしはゆっくり唇を重ねた。