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「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜
春の夜風は心地いい。
「あたしね…」
「はい」
「小さい頃の事
よく覚えていないの。
6歳の時に事故にあって、
それからその前の事は記憶が
曖昧なの」
「事故…」
あたしは懐かしく感じるばかり
つい自分の幼い頃の話をしてしまった。
事故…といっても軽いものだった。
「事故って言ってもね!
すごく軽いの。ちょっと車にコツンって。
衝撃はそんなになかったけど、
意識は失って、医者が言うには
ショックで記憶が曖昧に
なってるんだろうって」
「そうなのですね…」
颯太さんはただ聞いてくれる。
「別に誰かの名前を忘れたり
そういうのはなかったんだけど。
ただ…」
「ただ…?」
ただ、思い出せない子がいる。
あの夢に出てくる男の子。
あれは間違いなく幼いころのあたし。
「1人だけ、思い出せない子がいるの」
「思い出せない子?」
「夢に時々出てくるんだけど
顔がボヤけててわからないの」
けっこん…の約束を交わした。
きっと大好きだった男の子。
「…きっといつか思い出せる日が
くると思いますよ」
そう言った颯太さんは
どこか切なげで、でもとても
優しく笑った。
「うん。そうですよね」
颯太さんは夢に出てくる男の子に
何と無く似ている気がした。
「あたしね…」
「はい」
「小さい頃の事
よく覚えていないの。
6歳の時に事故にあって、
それからその前の事は記憶が
曖昧なの」
「事故…」
あたしは懐かしく感じるばかり
つい自分の幼い頃の話をしてしまった。
事故…といっても軽いものだった。
「事故って言ってもね!
すごく軽いの。ちょっと車にコツンって。
衝撃はそんなになかったけど、
意識は失って、医者が言うには
ショックで記憶が曖昧に
なってるんだろうって」
「そうなのですね…」
颯太さんはただ聞いてくれる。
「別に誰かの名前を忘れたり
そういうのはなかったんだけど。
ただ…」
「ただ…?」
ただ、思い出せない子がいる。
あの夢に出てくる男の子。
あれは間違いなく幼いころのあたし。
「1人だけ、思い出せない子がいるの」
「思い出せない子?」
「夢に時々出てくるんだけど
顔がボヤけててわからないの」
けっこん…の約束を交わした。
きっと大好きだった男の子。
「…きっといつか思い出せる日が
くると思いますよ」
そう言った颯太さんは
どこか切なげで、でもとても
優しく笑った。
「うん。そうですよね」
颯太さんは夢に出てくる男の子に
何と無く似ている気がした。