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「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜
「ほんとに何でもないんです。
ただ専属を誰にしようか
ずっと迷ってるだけで…」
結局、あたしには
こういう答えしか見つからなかった。
「今は颯太がついていましたね」
「はい、そうです」
「僕にしますか?」
「へっ!?」
間抜けな返事にクスクスと笑う
結斗さん。
「冗談ですっ。そんな
びっくりした顔しないでください?」
「なっ!もう!結斗さん!?」
コーヒーを飲み
笑いながら話す結斗さん。
でも結斗さんのおかげで
少し楽になる。
こういう気持ちが穏やかな
空気が作れるなら
結斗さんでもいいかななんて
思ったりする。
「結斗さんはよくここへ来るの?」
「僕は週に1度くらいですね。
たまに来て、本読んだり
マスターとお話したりしてますよ」
「そうなんですね、
あたしも来ようかな…たまに」
「いいと思いますよ。
いい気分転換になるかと思います」
いい気分転換…
結斗さんは窓の外を見ながら
目をつむる。
あたしはその姿を見て
きれいなんて思ってしまった。
居心地がいい。
「ねぇ、結斗さん」
結斗さんは優しく微笑む。
「はい」
「専属って…いなくても
いいんですよね…」
カップを両手に持って
窓の外を見る。
結斗さんは目を見開いた。
「彩芽様…?何を言って…」
あたしは静かに思った。
もう、いいと。
あたしは誰も執事につけたくないと。
「ううん、なんでもない!
ここって何か美味しい食べ物あります?」
あたしは笑って話を切り替えた。
結斗さんは少し困った顔をしながらも
あたしの会話に合わせてくれた。
「パンケーキがお勧めですよ。
イチゴたっぷりで美味しいです」
「パンケーキ!?結斗さん
パンケーキなんて食べるの!?
ふふっ何か可愛い〜!」
結斗さんは顔を赤くして
必死に言い訳する。
「いや!それはマスターが
試作だと勧めてくるからで…っ!!」
「ふふ!よしパンケーキ食べよっ!
マスター!!」
あたしは部屋の扉を開けて
マスターを呼んだ。