この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜

そこは本当に小さな個室。
畳み二畳分くらいしかない
広さ。
小さなテーブルと
一人がけのソファが2つ。
お花が飾ってあって
丸い窓が二つ。
「かわいい部屋ですね」
結斗さんはどうぞと
ソファに案内して
自分ももう一つのソファに
腰かけた。
「ここを知っているのは
ごくわずかな人だけです。
温室にあまり人が来ないというのも
ありますが…」
ニコッと笑う結斗さんの笑顔に
つられて自然と笑顔になる。
「でもあたしも結斗さんが
連れてきてくれなかったら
知らないままだったかも…」
温室の奥にこんな素敵な場所が
あるなんて思わないし。
コンコンー。
「彩芽ちゃんもコーヒーで良かったかな?」
マスターがそう言いながら
コーヒーを出してくる。
「はい!ありがとうございます!」
あたしが笑顔で返すと
マスターはニッコリ笑った。
「笑った顔はますます沙月に
そっくりだな。
この個室はよく沙月も使っていたんだ。
ゆっくりしていくといい」
そう言って、マスターは
部屋を出た。
「渋いけど、若く見えますね」
コーヒーを一口飲む結斗さん。
あたしも釣られる様に一口飲んだ。
「そうですね、僕もマスターの
歳を聞いた時は驚きましたよ。
どう見ても30代にしか見えないですし」
「うん。でも…優しそう。
とても…」
あたしはカップの中に砂糖を入れて
かき回しながら話した。
「何か…悩んでいらしたのですか?」
かき回していた手が止まる。
「あ…いえ…なにも」
「僕でよろしければ、ご相談に
のりますよ」
そう言う結斗さんの目は
いつになく真剣で鋭さを持っていた。
あたしはあんな事言えるわけないと
何とか誤魔化そうと理由を考えた。

