この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「私が欲しいですか?お嬢様」
第12章 颯太side
そのまま5分ほど時が流れた。
「…もう、いい」
俯いたまま田島先生が言う。
「…惨めね、あたし」
「田島先生…」
颯太は頭を上げて先生を見た。
「あたし、嫌われたくないわ。
あなたにだけは…」
背を向けて小さく笑う。
「あたしは誰よりもあなたを
好きなの。だから愛玩人形で良かったのに。
ふふ…ほんと、惨め」
颯太は再度頭を下げた。
「申し訳ありません」
「もう、いい。
もう行って。これ以上、変な事はしないわ」
そう言って涙を拭く。
颯太も大和もそれを黙って見ていた。
「行こう、颯太」
大和は颯太に声をかけた。
「ああ…」
そう頷き部屋を去ろうとした。
「ごめんね、颯太くん」
「先生…。
私こそ申し訳ありませんでした」
「名雲さん…」
先生の言葉に颯太は1度瞬きをした。
「大丈夫です。
彩芽様には私がきちんとお話します」
そう言って、部屋を去った。