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「私が欲しいですか?お嬢様」
第16章 専属〜溺愛〜
ー私はいいんです。

どうして…
あたしばかりで
颯太さんにも気持ちよく
なってほしいだけなのに。


あたしはあからさまに凹んで
しまって、颯太さんはそれに
気がついた。

ベルトを止める前に
あたしの横に座って抱きしめてきた。


「いったいどうなされたのですか?」


颯太さんの胸板があたしの
頬に触れる。


「…だって…」


心臓の音が聞こえる…
颯太さんも同じくらい
ドキドキしてる?


「すみません、彩芽様」


何も言わずにいたら
颯太さんは謝ってきた。


「え…?」


抱きしめる腕にさらに
力がこもる。


「嫌だったからではありません。
もし、あのまま触られていたら
私はきっと我慢できません。
ここで、あなたを抱いてしまいます」


ー抱いて…

あたしは想像もしてなかった
その答えに驚いた。

颯太さんは両手で
あたしの頬を包み続けた。

「あなたの''初めて''を
こんな所ではしたくありません。
もっとちゃんと…ゆっくり
味わいたいです」


ードクンッ

そう言った颯太さんの顔が
すごくすごく艶っぽくて
その目に引き込まれた。

「あ、あたし…」


言葉も見つからず
少しだけ視線をズラした。


ふいに唇に柔らかいものが触れる。

チュッー。

「私の事を思ってくださったのですね?
ありがとうございます」


「颯太…さん」


「今はお気持ちだけで…」







その眼差しは妖しく光る。








「ですが、その時は
私が果てるまで
たっぷり味わいますので
覚悟しておいてくださいね?」


「え…」


あたしの''初めて''を迎える日は
そう遠くない。

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