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「私が欲しいですか?お嬢様」
第1章 執事〜晴人〜
「沙月お嬢様、敏郎様がお呼びです。
申し訳ございませんが、お屋敷まで
ご一緒に…」
はると、という人はそう言って
ママに手を差し伸べた。
けど…ーーー。
パシンッ!
ママはその手を叩いた。
「やめて。あなたのそういう扱い
私は大嫌いよ。お父様の所へは自分で
行きます」
その人は少し驚いていたけど
すぐに表情は元に戻り
「変わってないな、沙月」
と言ってクスっと笑った。
何?これ。
ママはお嬢様で、この人は
たぶん、あれだよね。執事?とかいう…
いや、でも沙月って呼び捨て…
うーん?
「彩芽様、そんな難しい顔をされて
どうかなさいましたか?」
「あ!いえ!なんでも…ないです」
考えてるの顔に出てたみたい。
「とにかく、帰って。後で行くから」
「それは出来ません」
「んなっ!自分で行くって言ってるでしょ!」
「敏郎様からのご命令です、
沙月お嬢様が聞けないとなれば、こちらも
手段を選びませんよ」
そう言って、玄関にいたその人は
靴を脱ぎ上がってママに近づいた。
「やめて…」
ママは後退りをして、小さく抵抗する。
あたしはただ、ただそれを見てるしか
出来ずにいた。
「沙月お嬢様、さぁ帰りますよ」
そう言ったその人は
右手でママの手首をつかみ
左手でママの腰を引き寄せた。
なっ!?
「それとも…ここでして、さしあげましょうか?」
それを言われたママは顔を赤くして
勢いよく、その人を突き飛ばした。
「わ、わかったわ。行けばいいんでしょ」
「ご理解頂けて何よりです」
と、その人は笑顔を向けた。
「彩芽、ごめんね。ママと一緒にきてくれる?」
全然状況がわからないあたしは
ただ、頷くしかできなかった。