この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「私が欲しいですか?お嬢様」
第1章 執事〜晴人〜
荷物をまとめる暇もなく
あたしとママは外に止めてある
黒い大きな車に乗り込んだ。
「ねぇ、ママ?」
「なに?」
「パパは知ってたの?ママが…」
「名雲家の娘だってこと?」
ママの言葉に頷いた。
「うん、知ってたわ。でも
どうしてこうして生活していたか、
気になる。でしょ?」
だってパパはサラリーマン
ママは看護師してた。
あたしも普通の公立高校に通ってるし
お金持ちの感じはどこにもなかった。
「彩芽にはちゃんと話さないとね」
そう言って話し始めた。
訳はこうだった。
パパはママの家の執事だった。
パパとママは互いに惹かれあって
恋人同士になった。
けれど、名雲家の一人娘が執事と結婚など
許されるわけもなく
パパとママは何度も何度も
結婚を許してくれる様にお願いした。
そんな中、ママは妊娠。
2人は駆け落ち同然で家を出た。
あたしが産まれた後、名雲の家の人間に
見つかり、一時的にあたしとママは
名雲の家に連れて帰られた。
けど、パパがきて
何度も何度も話をして条件付きで
やっと許せてもらえたと。
パパは心臓が弱かった。
あたしが成人する時までもたないかも
しれないとも言われていた。
だからいつ死ぬかわからない。
条件は、パパが死んだら
名雲の家に戻ること。
そのかわり、それまでは一切
関わりは持たない。
あたしは今16歳。
パパはやっぱり20歳までもたなかった。
名雲の家に戻る時がやってきた。
ということだ。