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「私が欲しいですか?お嬢様」
第24章 彩芽〜蘇る記憶〜
「それから、あなたは
記憶を無くして、
時間はかかったけど少しずつ
思い出してきたわ。
けれど…」
けれど…
あたしは颯太さんの事だけは
思い出せなかった…
って事だよね…
ママも颯太さんも黙ったまま。
あたしは正直動揺していた。
夢も何度も見た
写真もここにある
でもあたしと颯太さんが
幼い頃に会っていて、
とても仲が良かったなんて…
あたしの事なのに
まるで誰か別の人の記憶に感じる。
あたしは頭痛に耐え
そっとソファから立ち上がり
窓際に立った。
颯太さんは心配そうにあたしを見る。
ママも立ち上がり、
あたしのそばにきた。
「きっと…混乱してるわね。
ゆっくりでいいわ…また何か聞きたい
ことがあれば、いつでも電話して。
ね?」
ママはあたしの肩に触れ
優しく言った。
あたしは小さく微笑み
ただ頷いた。
「颯太くん、彩芽をお願いね」
そうだ。
ママは飛行機の時間が
迫ってる。
「かしこまりました…沙月様
どうぞお気をつけて…」
颯太さんは立ち上がり
ママに頭を下げた。
「彩芽、次帰って来る時は
もう少し長く居られる様にするわ。
そしたら、もっと2人で
お出かけしましょうね」
「うん。気をつけてね、ママ」
ママは手を振って
あたしと颯太さんを
部屋に残して出て行った。