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「私が欲しいですか?お嬢様」
第29章 専属〜叶わぬ逢瀬〜
言い争う声がする。
あれは、父さんの声だ。
「兄さん…」
颯太は同じソファでくつろぐ
兄を見た。
兄は読んでいた本から視線を上げ
身体も通り抜けられないほどの
小さな窓に視線をやった。
「帰ってきたな、父さんが」
どこから情報が漏れたかは
わからないが、2人は
この日を待っていた。
父さんが相手ならば
あの人は大人しくなる。
1日の世話はほとんど
執事かメイドに任せ
あの人は顔を出すことがないに等しい。
あの人に出してくれる様
頼むこともできなかった。
だからこそ、この機会を待っていた。
バーンッ!
大きな音をたて
開かれた玄関。
「2人とも!いるのか!?」
聞こえてきた父さんの声に
部屋を出て玄関に向かった。
やっと出られる。