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「私が欲しいですか?お嬢様」
第29章 専属〜叶わぬ逢瀬〜
そっとドアを開ける。
月明かりがそっと射し込む
その中で、ベッドに座り
項垂れる彩芽の姿。
「彩芽様…」
尚弥は膝をつき
彩芽の手にそっと自分の手を重ねた。
「…ほんと?」
やはり、聞いていた。
尚弥は心ここに在らずの
彩芽を見つめ
ただ、頷いた。
「…そっか…」
彩芽の辛さが尚弥に伝わる。
尚弥はたまらなくなり
彩芽を抱きしめた。
「彩芽様、これ以上はもういい。
俺がそばにいますから…」
もういい。
これ以上…
尚弥は壊れそうな彩芽を抱きしめ
自分がそばにいると
ひたすら伝え続けた。