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「私が欲しいですか?お嬢様」
第5章 颯太〜愛玩〜

本当は少しでも彩芽のそばにいたいが
今はそれができない。

颯太は執事として。
そして彩芽は幼い頃とは違って
今はお嬢様。


例え執事としてでもいい。
執事に恋愛感情を抱いてはならない。
それならそれでいい。

彼女をそばで見ていられるならば。



「颯太っくん!」

廊下を歩いていたら急に声をかけられ
振り向いた。

紅女学園の音楽担当、田島先生。

「田島先生、どうしました?」


「ねぇ、また抱いてきたの?
保健の前橋先生…」



この人はいつもタイミングがいい。
誰かを抱いた後に必ず現れる。
私のメガネを持っていくのもこの人。

「…それが?どうかしましたか」


田島先生はゆっくりと近づき
颯太の胸元に手をおく。

「イケた…?」

そしていつも鋭い質問をしてくる。
厄介なのは、この人は
彼女に似ているということだ。



「先生には、関係のないことですよ」


「相変わらずね。あたしなら
イケるのに…


好きな女に、似てるからかしらね?」


胸元にある手がブレザーの中に入り
ワイシャツに触れる。


「用が無いのであれば、
離していただけますか?」



「してあげる。いいの。
あたしはあなたの愛玩人形…
あなたが本当は誰とあたしを重ねてるのか
わかっているつもりよ?」



彼女に似たこの人は本当に厄介だ。
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