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「私が欲しいですか?お嬢様」
第6章 執事〜波乱〜
「名雲さん…」
「田島先生…すみません」
田島先生、田島 弥生。
詩織が言ってた、あたしに似てるって。
「名雲さん、廊下は走らずに、ね?」
「はい、すみません」
田島先生はとても綺麗な先生。
この人とあたしが似てるなんて
そんなことあり得ないと思う。
「彩芽様、見つけましたよ」
「あ…」
颯太さん…
「片岡くん…」
先生が颯太さんの名前を呼ぶ
雰囲気にただならぬ空気を感じた気がした。
チラッと横目で見る颯太さん。
「田島先生、彩芽様が
ぶつかったみたいで失礼しました」
まるで、あたしの親かのように
田島先生に頭を下げた。
「あ、いえ。大丈夫よ。
…次から気をつけてくださいね」
あたしは再度先生に謝った。
「では、迎えがきていますので
行きましょう、お嬢様」
え…?
お、じょう…さま?
颯太さん?
そう言うと、颯太さんは
あたしの手を取り歩き出した。
「あ、ちょっ!
先生!さようなら!」
振り向きながら先生に挨拶をした。
先生もニッコリ笑って
見送ってくれた。
だけど、廊下の角を曲がるまで
あたしは先生の視線を感じていた。