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「私が欲しいですか?お嬢様」
第6章 執事〜波乱〜
「…もう1人…ですか」
一番最初に言葉を発したのは
颯太さん。
静かに流れる空気…
やっぱり無理だよね。
困らせてしまった3人を…
この空気に耐えられない
あたしは笑ってごまかした。
「ははっ!やっぱり無理ですよね!
気にしないでください!
専属はもう少し考えたいです!
なので、今日はこれで失礼します」
慌ただしく椅子から立ち上がる。
「彩芽様…」
結斗さんが少し困った顔で
あたしを見るけど
あたしは何も答えなかった。
だって、やっぱり決められない。
「尚弥さん!
ありがとうございました!」
勢いよく尚弥さんに向かって頭を下げ
その勢いのまま談話室を出た。
ーあっ!彩芽様っ!!
中から声が聞こえたけど
そんな声は聞こえないふりをして
ただ迎えにきている車に向かって
走っていた。
ハァー
ハァー
ドンッ!!!
走っていたら曲がり角で
人にぶつかってしまった。
「きゃあっ!ごめんなさい!」
「いたた…廊下は走らないって…
あなた…」
あたしがぶつかったのは
音楽教師の田島先生だった。