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昨日の夜は
第2章 真樹
大きな交差点を見下ろす2階のカフェの窓際に座って真樹はぼんやりと外を眺めていた

だんだん、空が暗くなり、いつしかすっかり街は夜の街に変わる

学生中心だった人ごみにやがて会社帰りのサラリーマンやOLの姿が増えてくる

左の小指のストーンを人差し指で撫ぜながら信号待ちの背中を見つめる

信号待ちのカップルは歩き出すと同時に腕を絡めていた

楽しそうに笑いながら若いOLたちが道を渡っていく

上司と部下だろうか、スーツ姿の二人が道を渡って来る

ぼんやり眺めているとメールが届いた

メールを確認すると真樹は店を出た

道を渡り駅前のホテルに入っていく

ロビーを横切りエスカレーターで二階の小さな店の暖簾をくぐった

「こんばんは」

「いらっしゃいませ、お待ちですよ」

すっかり顔なじみになった女将がにっこりとして奥の個室に真樹を案内した

扉を開けるともう彼がビールを呑んでいた

「はぁい、お待たせ」

スカートをふわりとさせ彼の向かいに座ると彼が真樹のグラスにビールを注いだ

「ねぇ、メール、まずかった?」

「大丈夫だけど」

「ごめんなさい、気づいたのが遅くて」

「いいよ」

「奥さんと寝てるかなって思ったけどメールしちゃった、ごめんね」

ノックのあと女将が入ってきて二人の前に料理を並べた

「おいしそう~、今日はなに?」

「お二人のお好みでご用意しましたから」

「ありがとー」

「お酒はいかがなさいますか」

「んー、またあとでお願いするかも」

ではまた、と女将が出て行った

「今日はゆっくりできる?」

「泊りは無理だな・・・どうして?」

「ううん、別に」

「君は泊まる?」

「そうね、せっかくだから。

残念ね、ここのホテルの朝ごはんはおいしいのに帰っちゃうんだ」

刺身をパクリとしてから真樹は続けた

「もし泊まれるなら、また、こないだみたいにたくさんエッチできるのにね」
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