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第5章 『俺』の気持ち
──────────…

所変わって…

昼食を終え、今だ我が子誕生に浮かれる佐藤と共に、琉はオフィスへと戻っていた。


「赤ん坊の世話ってのは大変だよな。夜中に起きなきゃだから朝は起きれないって言うし、夜中に起こされるからって俺の帰宅も待たずに寝ちゃうし…」

「……寂しいなら飲みに行かずに帰ればいいでしょ」

「お前なぁ! 嫁さんの実家がどれだけ気を使うか……」


既婚の男性社員の間でたまに話題に上がる。

嫁さんの実家…

項垂れる佐藤を見ていれば、それがどんなものか何と無く想像もつく。

愛里咲に両親は居なくても、親戚はいるわけで…


「陽音優先でいいんだよ!ワガママは言えない!お義母さんは起きててくれるしな。うん、今は我慢の時なんだ! 琉もそうだったろ⁈ 」


─────いろいろと1人でやろうとするのは愛里咲の悪い癖だ。

だから、同居になってでも助けてもらおうと思っていた。

3ヶ月半、笑顔で過ごしていた愛里咲。


だが、

やはり1人で双子を見るとなると大変らしく、最近ではその笑顔が曇りつつある。


はぁー…

同時に大きなため息を吐き出し、顔を見合わせて苦笑いする。

すぐに口を開いた佐藤の背中に、

ドン!

白髪の男性がぶつかった。


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