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コンプレックス
第6章 弟の友達
「え?」

いきなりの告白に、目を見開き戸惑う渚。

だが、一度滑り出した翔の口は止まらない。


「ずっと琉と比べられて、琉のようになれ…なんでこんなに違うんだって……デカイコンプレックス抱えてた。

だけど、槙野さんはそんな俺のコンプレックスをぶち破る言葉をたくさん掛けてくれて……。

初めてだったから……俺自身を見てくれた人……。

あっという間に心を持ってかれた」


長ゼリフの後、翔は大きく深呼吸する。

そして、


「嬉しい言葉をたくさんもらったのに、ひどい言葉で傷付けてホントにごめん!

俺、槙野さんが好きです‼︎ 」


─────…

沈黙に、先程までの勢いが嘘のように冷めていく。

反比例して顔の熱は増していき、真っ赤な顔を見られたくなくて、翔は俯いた。


「……っ私……」

ビク…

渚の声に、翔の肩が大きく揺れる。


「あのっ!謝りたかっただけだから!
返事とかいらないし!」

「え?」

顔を上げた翔は渚の方を見ようともせずに、慌てたように立ち上がった。


「いや…あの……面と向かって振られるとこれから会社で気まずいから……」

「え?」

そっぽを向いたまま、苦笑いで後ずさる翔。

渚が立ち上がれば、

「じゃっ、じゃあね!また明日!」

勢いよく駆け出して行ってしまった。


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