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コンプレックス
第1章 弟が父親になった

今日は家族総出で、入院中の愛里咲と双子に会いに来ていた。
予定日近くまでお腹にいたためか、双子にしては大きい2人。
保育器に入る事もなく、他の赤ちゃんと共に新生児室に寝かされていた。
「琉にそっくりだな」
新生児室の硝子にへばり付き、初孫達を食い入るように見つめた父親がボソリと呟く。
「あらでも、女の子の方はどことなく愛里咲ちゃんに似てるわよ」
父親の隣で母親が言えば、琉が呆れたように笑う。
その表情すら何処と無く”父親の顔”をしているようで、
そして、
こんなに嬉しそうで穏やかな顔を親にさせているのが弟の琉だと言うことに、
翔は心の中のモヤモヤが大きくなっていく。
(完全”無い物ねだり”だ。情けない…)
短く小さいため息を吐き出すと、翔は硝子に張り付く両親の横に立ち、初めて見る姪っ子と甥っ子の顔を覗き込んだ。
予定日近くまでお腹にいたためか、双子にしては大きい2人。
保育器に入る事もなく、他の赤ちゃんと共に新生児室に寝かされていた。
「琉にそっくりだな」
新生児室の硝子にへばり付き、初孫達を食い入るように見つめた父親がボソリと呟く。
「あらでも、女の子の方はどことなく愛里咲ちゃんに似てるわよ」
父親の隣で母親が言えば、琉が呆れたように笑う。
その表情すら何処と無く”父親の顔”をしているようで、
そして、
こんなに嬉しそうで穏やかな顔を親にさせているのが弟の琉だと言うことに、
翔は心の中のモヤモヤが大きくなっていく。
(完全”無い物ねだり”だ。情けない…)
短く小さいため息を吐き出すと、翔は硝子に張り付く両親の横に立ち、初めて見る姪っ子と甥っ子の顔を覗き込んだ。

