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第7章 『俺』の彼女
『あ、いえ。あたし、須藤芙由です』

愛里咲の呟きが聞こえたのか、インターフォンの向こうで芙由が両手をブンブン振る。


「あ、ごめんなさい。何か?」

元カノは同級生だ。こんなに若いわけがない。

インターフォンの画面に映し出された高校生くらいであろう芙由を見て、愛里咲は慌てて話題を戻した。


『あの、琉さんのお財布…』

そう言った芙由の手に握られているのは、間違いなく琉のお財布で、愛里咲はすぐにドアを開ける。

「お財布を拾ってくれた方ですか⁉︎ わざわざありがとうございます‼︎ 」


頭を下げ、手を差し出した愛里咲。

いつまで経ってもその手に財布の重みを感じない。

不思議に思って顔を上げれば、背伸びをして家の中を覗く芙由。


愛里咲の怪訝な顔に気付き、芙由は躊躇いがちに言った。

「あの…琉…さんは……?」

「あ……仕事に行ってますけど……?」

「えっと…お財布、本人に直接返したいんですけど」

「え?」


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