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第7章 『俺』の彼女
「ごめんな? こいつ、普段はこんなんじゃないんだけど、あのオヤジの事となると冷静さに欠けちゃって…」

佐藤のフォローにも、

「別に、塚本さんは関係ない。財布を拾ってくれたのは感謝してる。でも、わざわざ愛里咲にくっ付いて会社まで来るとか意味わかんねぇ」

琉の苛立ちを隠さない言葉を止められない。


「それは! どうしても直接お返ししたくて‼︎ 」

顔を上げて琉を見た芙由の瞳に涙はなく、睨むように琉を見据えていた。


「何で? 金が欲しいから?」

「ひど…っ、直接御礼を言いたかったからです!」

「じゃあ用は済んだよね? これ食ったら帰って」 


息を飲む芙由。

時々開いてはまた閉じる口が、必死に次の言葉を探していた。


「…っ、あの、連絡先を…」

結局、ストレートにそう告げれば、

「やだ」

即答で切られる。


「また会ってくださ…」

「やだ。俺、ただのサラリーマンだよ? 女買う金なんてないし、買う程困ってねぇし」

「違います! お金なんか要りません! 私が会いたいの‼︎ 」

「……俺は会いたくない」


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