この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コンプレックス
第7章 『俺』の彼女

「ごめんな? こいつ、普段はこんなんじゃないんだけど、あのオヤジの事となると冷静さに欠けちゃって…」
佐藤のフォローにも、
「別に、塚本さんは関係ない。財布を拾ってくれたのは感謝してる。でも、わざわざ愛里咲にくっ付いて会社まで来るとか意味わかんねぇ」
琉の苛立ちを隠さない言葉を止められない。
「それは! どうしても直接お返ししたくて‼︎ 」
顔を上げて琉を見た芙由の瞳に涙はなく、睨むように琉を見据えていた。
「何で? 金が欲しいから?」
「ひど…っ、直接御礼を言いたかったからです!」
「じゃあ用は済んだよね? これ食ったら帰って」
息を飲む芙由。
時々開いてはまた閉じる口が、必死に次の言葉を探していた。
「…っ、あの、連絡先を…」
結局、ストレートにそう告げれば、
「やだ」
即答で切られる。
「また会ってくださ…」
「やだ。俺、ただのサラリーマンだよ? 女買う金なんてないし、買う程困ってねぇし」
「違います! お金なんか要りません! 私が会いたいの‼︎ 」
「……俺は会いたくない」
佐藤のフォローにも、
「別に、塚本さんは関係ない。財布を拾ってくれたのは感謝してる。でも、わざわざ愛里咲にくっ付いて会社まで来るとか意味わかんねぇ」
琉の苛立ちを隠さない言葉を止められない。
「それは! どうしても直接お返ししたくて‼︎ 」
顔を上げて琉を見た芙由の瞳に涙はなく、睨むように琉を見据えていた。
「何で? 金が欲しいから?」
「ひど…っ、直接御礼を言いたかったからです!」
「じゃあ用は済んだよね? これ食ったら帰って」
息を飲む芙由。
時々開いてはまた閉じる口が、必死に次の言葉を探していた。
「…っ、あの、連絡先を…」
結局、ストレートにそう告げれば、
「やだ」
即答で切られる。
「また会ってくださ…」
「やだ。俺、ただのサラリーマンだよ? 女買う金なんてないし、買う程困ってねぇし」
「違います! お金なんか要りません! 私が会いたいの‼︎ 」
「……俺は会いたくない」

